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執筆者の写真Miyu Kuroki

取材日記






2021年、アメリカ国務省は「世界各国の人身売買に関する報告書」において日本の「外国人技能実習制度」を批判した。

 

 外国人技能実習制度は、国連が「現代の奴隷制」と表現するなど、問題の多い制度であることも事実だ。


主な問題点としては、

①名目上は国際貢献のための制度ではあるが、事実上は「安価で都合の良い労働力」である。

③「逃走」件数の多さ(「勤務先の固定」が原因の一つ?)

④低賃金多重労働の横行

⑤来日する技能実習生が多額の借金を背負うシステム(ブローカーによる中間搾取)

が挙げられる。


 その一方で「技能実習生」は今日、日本の産業に欠かせない存在だ。2019年のデータでは、日本で働く技能実習生の数は約4万人。私たちのすぐとなりにいる、身近な人たちだ。


 今年度より主にインドネシア出身の技能実習生に取材を重ねてきた。その中で、一人のインドネシア人技能実習生の方に密着して取材する機会を得た。


 今回、技能実習生を主題として制作を行いたい。

 技能実習制度は問題を多くはらむ制度である。しかし、


「技能実習生」=「かわいそうな存在」

 

 という簡単な図式で表現することにはなんとも抵抗がある。


 日本の外国人技能実習制度には「『実習』だから低賃金で良い」という考え方があると思う。技能実習生を「かわいそう」な存在としてのみ切り取ることは、この図式と同じ精神なのではないかな…。

 それに、制度とその人の幸福は切り離して考えられるべきだ。その人の幸福は、その本人以外がジャッジしてはならないと思う。


 密着している実習生の方は、「技能実習生」という選択について、デメリットもメリットも含めて「選択のリスクでしょ」と口にする。


 「人生を変えたかった」 技能実習生という道を選んだ理由について、また彼はそう述べる。


 私たちを含む「外国人技能実習制度」に関わるすべての人たちに、それぞれの思いがある。

 「技能実習生」として日本をサバイバルすること、その知恵と狡知に取材をしたい。


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